代理出産であっても依頼者自身の年齢が問われる
2025年発表のASRM(米国生殖医学会)の新指針から2026年現在、米国の生殖医療は年齢制限開始
親になる治療の年齢制限が急速に普及|子が親を必要とする時間と親の寿命
2026年、米国の生殖医療専門の学会であるASRM(米国生殖医学会)が子を授かるための治療の年齢制限について、従来より明確な方向性を発表*した。この発表を受け、高齢の患者の生殖医療の制限が確立し始めており、米国の主要クリニックでは年齢制限を設定し、その運用を厳格化している。高齢の場合、治療が不可となるケースが出てきている。
これは、以前から言われてる高齢の細胞からの子への影響や、高齢の妊娠・出産への懸念に加え、「親として子を育てることのできる健康な余命」や「子どもが成人するまでに親が死亡するリスク」まで考慮し、高齢で親になるための生殖医療に一定の制限を設けるべきであるという指針である。体外受精の誕生から約半世紀が経過し、生殖医療が広く行われるようになり、長期的なデータも蓄積されてきた。その結果、生まれた子どもの将来や、高齢の親との関係まで含めて考える時代になっている。
代理出産依頼による親になる年齢も制限に含まれている
生殖医療を通して親になるための年齢制限は、本人が妊娠する場合だけに限られない。代理母が妊娠する代理出産であっても、子の親となる依頼者の年齢が審査対象となり得る。ASRM(米国生殖医学会)は、代理母を使うことにより高齢女性の妊娠リスクを回避できると解説している一方で、依頼者の年齢制限の設定を伝えている。つまり高齢の依頼者は、米国ではASRM(米国生殖医学会)の指針により年齢審査が行われ制限される。
年齢制限は女性同様、男性にも適用される
歴史的に、女性の加齢が妊孕性(にんようせい)や子への健康に及ぼす影響については多く語られてきたが、男性の加齢については、女性ほど研究や臨床上の議論が最近まで行われてこなかった。
しかし、男性も生殖能力や、男性の加齢に伴う精子の変化が、妊娠や子どもの健康に影響する可能性があるため、男性の年齢も女性同様制限される。また、夫婦による子を授かる計画の場合は、両親となるそれぞれの年齢だけでなく、両親の合計年齢も判断の要素とされる。
米国生殖医学会は具体的な高齢年齢を設定していない
ASRM(米国生殖医学会)は生殖医療を受ける場合、何歳が高齢であるか、という一定の年齢を設定していない。つまり、米国の生殖医療において、高齢患者は制限される必要があるというガイダンスを掲げているものの、年齢設定自体は各クリニックに任せている。
2026年夏、現時点で、多くの米国クリニックでは50歳、もしくは、55歳という年齢制限を設けており、かなり厳格に患者の受け入れをコントロールしている。
弊社が7月~8月に米国の主要生殖医療クリニックについて確認したところ、50歳または55歳前後を上限とする施設が多く、高齢患者の受け入れは非常に厳しくなっている。実際に弊社の56歳のクライアントである患者ケースについて、ニューヨークの生殖医療専門医を通じて受け入れ可能な施設を調査したところ、高齢を理由にほとんどの施設で受け入れ不可となった。(2026年8月現在)
世界は子どもの福祉・将来を重要に考える時代へ
2026年の米国生殖医療の指針に特に明確に記されている高齢で親になる制限は、今の時代の考え方を象徴しており、世界が、子どもの福祉・将来を優先に考え、社会の仕組みそのものが、より明確に子どもの利益を守る方向へと変化し始めている。日本も本年2026年4月に民法一部改正で子どもの福祉を明確に優先する方向へと変更されたことも記憶に新しい。
代理出産には、医学・法律・年齢・国や州ごとの制度など、さまざまな要素が複雑に関係します。最新の世界情報を把握したうえで安全に進めることが重要です。個々のケースにより方法論を提供します。なんでもご相談ください。
*参考記事:高齢の父母に対する生殖補助医療についての倫理委員会見解 *(2025年発表・英文)





